おはようございます。
ニイニのデザイナーをしております保坂郁美です。
今日も気持ちの良い秋晴れになりました。
皆様いかがお過ごしでしょうか。
先日、素敵なご縁を頂きジャズピアニストをされている鈴木真奈様から、完全フルオーダーのドレスの依頼を頂き制作しました。
「完全フルオーダー」とは、一体どういう提案か。
今日は、そんなお話をさせて頂けたらと思います。
「完全フルオーダー」は、一から何も無いところから提案する洋服です。
お客様の要望を徹底的に聞き、イメージを一緒に膨らませていきます。
具体的なイメージがない時は、雑誌の写真などを参考にデザインを詰めます。
普通殆どの方は、何も無いところからイメージすることは出来ませんので、写真でイメージを擦り合せるのが非常に効率が良く、提案の方法によく用います。
「大体こんな感じかな?」とイメージが固まると、絵を描いて細かな提案をします。
同時に「素材はこんな感じにしたい。」に近い素材を幾つか提案して具現化します。
この時、一番大切にしていることは着やすさの提案です。
どんなに面白いデザインを思い付いたとしても、着やすさをないがしろにすると、いづれタンスの肥やしになる洋服に繋がります。
ついつい着たくなる洋服は、着やすい工夫がそこここにされています。それをどうさりげなくデザインに落とし込めるか。これこそ、デザイナーの腕の見せ所です。
今回の提案は、ピアノ演奏の際に着るドレスです。
見栄えはもちろんのこと、演奏にストレスなく集中出来る着心地を提案しなくてはなりません。
当然、シーチングでしっかり仮縫いをします。
今回、とても苦労したところは綺麗なバストを作り込むことでした。元々非常にスタイルがよろしい方なのですが、それでもドレスはバストラインには気を遣います。
それを作り込む工夫の1つに、市販のブラジャーを加工し、内蔵しています。加工しやすいブラジャー選びにも四苦八苦しました。
シーチングでの仮縫いを経て、今度は本番の生地で仮縫いをしていき、着心地を確認します。
デザインポイントに右肩を出した演出をしているため、透明なブラジャー紐で固定をし吊るしています。ですが、なかなかジャストな位置を見極めることが出来ず、完成後も何度か修正させて頂きました。
その甲斐あって、とても着心地の良いドレスに仕上げることが出来ました。
先日、鈴木真奈様のジャズコンサートに行って来ましたが、非常に素晴らしい演奏でした。
また、とても綺麗に着こなして頂き感激しました。
鈴木様からも
「紐を直してくれたおかげで、とても演奏しやすくなりました。」
と、お声がけ頂きホッと安心しました。
少々値段がかかっても完全フルオーダーが求められる理由は何処にあるのか。
あらためて、気付かされます。
世界にたった1つ、オンリーワンのドレスを身につけられる嬉しさはもちろん、自分だけが感じることが出来る着心地の良さ、そして安心感にあるのだと、…そこに完全フルオーダーの価値があると感じます。
ニィニは今日も、それぞれのお客様に寄り添った洋服を作りを、スタッフ一同精一杯丁寧に取り組ませて頂きます。