おはようございます。
ニィニのデザイナーをしております保坂郁美です。
今日も快晴に恵まれ、気持ちの良い一日の始まりとなりました。
皆様、いかがお過ごしでしょうか
この度、毛皮のリ・デザインの受注を受け製作しています。
昨日は、ほどきだけで一日かかってしまいました。
非常に根気のいる大変な作業です。
しかし、元々は命あった可愛いミンクです。
生きているミンクを見ると胸が痛みます。
人間は残酷なものです。
高級婦人用コートなどに利用されると、コート1着に30頭以上のミンクが必要になります。
今は、時代が変わり動物愛護の観点からも毛皮を控える風潮にあります。
そのため、タンスの奥深くにしまわれひっそりと眠る毛皮はたくさんあります。
だからといって命をいただいてしまった以上は、大切に身に着けることをしなくては可哀想に思うのです。
ニィニでは3ヶ月かけて丁寧にご希望のスタイルに作り変えて、ご家族のもとに留めるお手伝いをしています。
この取り組みのきっかけも、お客様の声により始まりました。
最初は丁重にお断りさせて頂いていました。
それは当然、やってあげたくてもどのようにすればよいのか全く分かりませんでした。
そもそも、毛皮をつなぎ合わせるには専用の特殊ミシンが必要になるのですが、それすら持ち合わせていませんでした。
それでもなお問い合わせが度々ありました。
非常に悩みましたが、決めたら早いのがニィニです!
毛皮専用の特殊ミシンを購入し、一流デザイナーにデザインを依頼、ヨーロッパの香りがするモードなアイテムを提案しました。
サンプルが出来るまで、高級なフエイクファーで何度も何度も試作を重ねました。
本番は思い切って、専務のミンクのロングコートを崩しました。
その時、初めて毛皮コートの内側を見て皆でびっくりしました。
想像以上に簡潔な仕様だったからです。
しかし、試作を重ねるうちにそれが何故か知るのです。
初めは全く理解できずに、難易度の高い洋服を作ってきた自分たちのほうがずっとレベルが高いと思い込み、いつものようにしっかりした縫製で作りました。
結果は残念、出来上がりは想像以上に良くありませんでした。ガチガチな硬い仕上がりになり、ふんわり優雅な印象にならないのです。
どうして!何故だ!何なんだ!!・・・
ここから、ニィニの本当の試作が始まります。
いろいろな毛皮コートをほどき、研究しました。
時間をかけて、ある時気づくのです。
それは、適度な手の加え方が最も大切であることに。
毛皮コートの中が簡潔な仕上がりには、ちゃんと理由があったのです。
しかし、この加減を見極めるのは至難の業 です。
それはそうです。元々は、個体差がある生きた動物だったのですから。
それを知ってから、ニィニは益々動物たちの声を聴くように語りかけながら、また存在にリスペクトしながら丁寧に今日も制作しています。