おはようございます。
ニイニのデザイナーをしております保坂郁美です。
今日はとても清々しく、秋を感じさせるお出かけ日和になりました。
皆様、連休中はいかがお過ごしでしょうか。
昨日からニイニは、御徒町にある着物メーカー鈴乃屋にて展示会をしています。
今日のお客様は、前回の展示会でオーダー頂きその仮縫いに見えます。
その前に「仮縫い」とは何かご存知ですか。
基本、着物を洋服に作り変える際は、オーダーメイドと同様絵から要望を聞いていきます。
その後、よりイメージを具体的してもらうため、一度立体で形見本を作り更に正確に要望を確認します。
素材は簡素な綿になるのですが、それをアパレル用語でシーチングとよびます。
更に言うならば、上記の工程を「シーチングで仮縫いする。」と言います。
もちろん、状況によっては本番の素材で仮縫いすることもします。
それを、「本番の素材で、仮縫いする。」と言います。
シーチングで仮縫いする場合は、よっぽどの場合です。もうここまでくると、オートクチュールの世界です。
今回の仮縫いは、シーチングで仮縫いするのですが、それは何故か。
素材が一点物の着物になるからです。
そう、絶対に間違いが許されないのです。
特に着物は作家物もありますから、まさに一点物の素材です。
しかも、ご家族から受け継いだ物は想い入れもひとしおですので尚更のことです。
大柄のデザイン物は、柄行きで良し悪しが決まりますから提案は慎重です。
時には、実物をカラーコピーしてそれを型紙通りにカットし提案します。
(以下の写真は、以前お作りしたものです。)
少しでも要望に応えたい!
これは、私たちニイニの出来る限りの工夫です。
今日見えるお客様は、85歳のお祖母様のお嬢様からのご相談です。
もう、お祖母様は車椅子で着物を着ることは出来ません。
そこで、着物をワンピースにしてほしいとお話を受けましたが、お祖母様はワンピースにすることを大変ためらっていました。それは、大好きだった亡きご主人様に買ってもらった、思い出の着物にハサミを入れることに戸惑ってしまったようです。。
このような場に立ち会うと、あらためて思います。
私たちは、単に洋服を提案をしているのではないのだと…。
本当に提案しているのは、何か。
そう…、そのご家族の想い出に丁寧に寄り添うこと!
そのことをしっかりと胸に刻み込み、今日も素敵な提案が出来るようスタッフ一同精一杯取り組ませて頂きます。