お越し頂きありがとうございます。
(株)ニイニ、取締役、デザイナーの保坂郁美です。
今日は朝から少し肌寒く、秋の訪れを感じます。もう、半袖一枚ではいられない季節になってきました。
皆様いかがお過ごしでしょうか。
身体を動かし健康的に過ごすことの大切さを爽やかに感じております。
突然ですが、埼玉県蕨市は機織りの町であったことをご存知ですか。
江戸末期から昭和初頭、蕨市では双子織という綿織物が盛んに織られており、当時高級綿織物として江戸を皮切りに日本全国一世風靡していました。そもそも双子織とは、どんな織物なのか。
江戸時代の末、安政六年(1859年)に横浜が開港されたことにより日本にはじめてイギリス製の紡績綿糸と最新の化学染料が到来し、鮮やかな織物双子織が生まれるきっかけとなります。
双子織は木綿でありながら絹様の光沢をもった超極細糸を使用し、双子(二本の糸を撚り合わせる)にして、超高密度に織り上げるかなり難易度の高い織物になります。薄地軽量のしなやかな和装テキスタイルで、多彩な配色を施した縞糸(色糸)が駆使され、絣模様も併用したファッション性の高い都市的なデザインとして持てはやされました。
しかし、様々な要因から昭和初頭双子織は完全に途絶えます。あれから時が経ち双子織は姿を消しましたが、なんとこの20年間双子織研究者により研究され、近年奇跡の復元が成されたのです。
しかも当時の品質をそのままに。これは凄いことなのです。
このことについては、また別の機会にきちんと触れていけたらと思います。
3年前、蕨商工会議所よりこの復元された双子織の存在を教えて頂くまで、ニイニは全く知りませんでした。そもそも双子織自体知らなかったのです。
当初、双子織を洋服にして町興しの1つになれないかとご相談を頂いたのですが、素晴らしい織物とわかっても、当時復元された双子織はかなり厚手の綿織物だったので部分使いにあしらう提案が精一杯でした。
しかし、あれからいろいろ試作され薄手の双子織が完成しました。
そんな中、私はプライベートでフルマラソンをしているのですが、ある時アイデアの神様が突然降りてきたのです。
双子織でスポーツウェアを作ってみたらどうだろう…。
スポーツウェアは、殆どがポリエステル素材などです。
汗がこもってしまって、冬のランニングでは汗冷えして着心地が悪いのです。
超極細糸で超高密度で織られた綿織物双子織であれば、ある程度の風を防ぎ、緩やかに発汗するのではないか…。
しかも、日本伝統織物双子織が、老若男女全ての人を健康に元気に出来たら!なんて素晴らしいでしょう。
更に、綿素材は地球にも人にも優しい!
そう思うか思わないかのうちに、デザインを描き上げ、直ぐにパタンナーと打ち合わせし、裁断縫製し、試作しました。
その後着用した感じを確かめるため、千葉館山フルマラソン大会で実際走りました。
綿素材の着心地は予想以上でした。
作ったら今度は知ってもらわなければ!
急遽、今年春に開催された彩湖リレーマラソン大会のスタッフジャンパーに採用してもらいお披露目させて頂きました。その様子が埼玉新聞に取り上げられました。
年末には蕨市ふるさと納税の返礼品として、全国の方に知ってもらう準備をしています。
まだまだ、ニイニの取り組みは始まったばかりです。より良い製品にするには難問山積ですが、これからもスタッフと共に果敢に挑戦して行きたいと思います!