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「捨てないアパレル」を目指しております、(株)ニィニ、取締役、デザイナーの保坂郁美です。
先日男性のお客様から、大切に着ているセーターの補修を承りました。
とても長くご愛用されているご様子のセーターでしたが、よく見ると60個ほどの小さな穴が空いてしまっていました。
「捨ててしまおうかとも思ったけど、どうしょうかな、と思って、、、。」
とご相談くださいました。正式なかけはぎだととてもお高くなってしまうので、イギリス版かけはぎダーニングのイメージで、ラフなスタイルのチェーンステッチさせて頂きました。
英国のダーニングとは、簡単に説明すると縦横に糸を織物のように渡して穴や擦り切れを修繕、補強するテクニックのことです。
今、いろいろなところで「捨てない」をテーマに広められているイギリスの刺繍補修手法の一つです。
チェーンステッチとダーニングは、また違う手法ですが、ダーニング補修の想いの素朴さを参考に、優しく丁寧にまとめさせて頂きました。
捨ててしまうのは簡単ですが、そうしてしまうと何だか想い出そのものも手放してしまう、そんな哀しい気持ちになりますね。
お客様のセーターに寄り添う気持ちを大切に、ささやかながらチェーンステッチで穴を塞がせて頂きました。
まーるくチェーンステッチすると、小さな花が散りばめられているようで優しい気持ちになります。
お客様はこちらのセーターを、ジャケットの下によくお召しになっていらっしゃいました。セーターもまたジャケットの下に収まることが出来て、きっと安心していることと思います。そんなふうに想像すると、ほっこりした優しい気持ちになります。
ものを大切にする気持ちは、人の心を豊かにするものですね。
ささやかではありますが、このようなお手伝いさせて頂き嬉しい気持ちでいっぱいになりました。お声がけ頂き、ありがとうございました。