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「捨てないアパレル」を目指しております、(株)ニィニ、取締役、デザイナーの保坂郁美です。
只今ニィニの従業員は、総勢12名、内グラフィック部門2名、実質10名でアパレル業務をこなしています。
たったこの少人数でも、チームとして一つになるのは並大抵のことではありません。
毎日毎日いろいろあります。
「伝えた、つもり」。
それは、本当に10人いたら、10通りの感覚があります。
「あんなに周りで話していたのだから、ちゃんと聞こえていたよね?だから、わかってるよね?」
「あんなに、しっかり仕様書に書き込んでいるのだから、見ないなんてあり得ないよね?」
毎日毎日、本当にあります。
それでも、ニィニのスタッフはそれぞれ感度高いコミュニケーションを取っている、という自負をそれぞれ持っていましたした。
しかし、昨年初めて外部の方をお呼びして、従業員の更なる意識向上に向けてセミナーを開催しました。
現場力を高める知識とコミュニケーションに特化したセミナーを開催される、小川ふさえさんに多面的にお話し頂きました。
https://kigyo-kenshu.com/instructor/fusae-ogawa/
小川さんは現在、高卒の新人から管理職対象にビジネス一般から繊維業界専門技術・知識まで多様な研修、検定を実施していらっしゃいます。
今回初めての試みで、開始早々戸惑う様子も見受けられましたが、皆さんの聞こうとする姿勢を感じました。
セミナーの内容は、技術向上に向けての意識改革です。
その中、大きく分けて以下の話を中心にセミナー頂きました。
①あなたの考える品質とは。
②チームで働く、コミュニケーションとは。
①の品質の話は、とても難しい内容です。それは、品質を一律にする、すなわち縫製レベルを一律にする、ということになるからです。
完成度と一言でいいますが、厳密に言うと、それは縫製者一人一人まちまちになってしまうからです。
何を基準にして、完成とするか。
日頃、しっかりした洋服を身につけているか、また身につけられる生活水準にあるか、まさにそこで決まってしまうからです。
パターン引くにせよ、裁断するにせよ、縫製するにせよ、一行程一行程、関わる方の生き様そのまま反映します。
しかし、全ての従業員がそうとは限りません。それ故、完成度という意識を統一して、一つの洋服をチームで製作するということが業界的にも非常に難しいのです。
だからこそ、②のコミュニケーションをより密にとって意識を統一していくことを、怠ることは出来ないのです。
デザイナーからパタンナーに引き継ぐとき、パタンナーから裁断者に引き継ぐとき、裁断者から縫製者に引き継ぐとき、裁断者からまとめ、プレスする担当に引き継ぐとき、そして営業担当に引き継ぐとき、全て次の担当に引き継ぐ瞬間に、しっかり正確に繋いでいるか、ここで洋服の良し悪しが分かれます。
また、セミナーの中でディスカッションも多くあり、その中で引き継ぐときの工夫についても話が出たりもしました。
しかし、一番印象的だったのが、それぞれの口からお互いをリスペクトする発言が非常に多いことでした。
お互いを信頼している、そして、お互いとても尊敬している。
これが、口にできる関係であることは、本当に素晴らしいことです。
聞いていて、非常に感銘を受けました。
数日後、パタンナーのチーフの口から、「やっぱり1番大切なのが、次の担当に引き継ぐ時だよね。もう少し、しっかりお互いにやっていこうね!」と声かけしていたことでした。
経営者の立場の人間が言うと、捉え方によると反発もあるかと思いますが、チームの中でそういう会話が生まれるのは本当に理想的です。感動してしまいました。
本当にチーム作りは、1日では仕上がりません。これこそ、「ローマは一日にして成らず」です。
経営者側として、これからもチームを大切に、そして感謝を忘れず、日々精進していこうと決意した次第です。